束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「え、折戸、今動揺してる? かわいいんだけど」
「は!? ちょっと何なのもう。松藤が動揺させるようなことばっか言うからでしょ」
友人の域を超えてぐいぐい来る洋輔に、彩子は動揺を隠しきれない。洋輔を好きなことがばれやしないかとひやひやするが、この状況で動揺しない人間のほうが少ないだろうと開き直ることにした。
「今日なんかちょっといじわるなんだけど」
「えー、そんなことはないよ」
「あるの」
「ふふ。で、送ってもいい?」
「それはー……って、松藤と私、路線違うじゃん」
「知ってるけど……」
「え、それでもってこと?」
「うん」
「それはー、さすがに申し訳ないが勝っちゃうかな」
「だめ?」
洋輔は彩子を見つめてくる。
その瞳が潤んでいるような気さえして、なんだか罪悪感が湧いてくる。何て卑怯な顔をするんだと思った。
送ってくれるのは嬉しいのだが、洋輔にだけ無駄な出費をさせるのはやはり心苦しい。それにこの男はデートのたびにそれをやってきそうだ。洋輔にばかりそんな負担は強いたくない。対等な関係でいたいのだ。
「は!? ちょっと何なのもう。松藤が動揺させるようなことばっか言うからでしょ」
友人の域を超えてぐいぐい来る洋輔に、彩子は動揺を隠しきれない。洋輔を好きなことがばれやしないかとひやひやするが、この状況で動揺しない人間のほうが少ないだろうと開き直ることにした。
「今日なんかちょっといじわるなんだけど」
「えー、そんなことはないよ」
「あるの」
「ふふ。で、送ってもいい?」
「それはー……って、松藤と私、路線違うじゃん」
「知ってるけど……」
「え、それでもってこと?」
「うん」
「それはー、さすがに申し訳ないが勝っちゃうかな」
「だめ?」
洋輔は彩子を見つめてくる。
その瞳が潤んでいるような気さえして、なんだか罪悪感が湧いてくる。何て卑怯な顔をするんだと思った。
送ってくれるのは嬉しいのだが、洋輔にだけ無駄な出費をさせるのはやはり心苦しい。それにこの男はデートのたびにそれをやってきそうだ。洋輔にばかりそんな負担は強いたくない。対等な関係でいたいのだ。