束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 帰りも洋輔が車で送ってくれた。

「はい、到着」
「ありがとう、洋輔」
「いいえ。今日はゆっくりして疲れ取って」
「うん」
「彩子」
「ん?」

 洋輔が強い瞳で見つめてくるから、彩子はそこから目が離せなかった。

「ありがとう」
「ふふっ、何あらたまって」
「彩子がいてくれて嬉しい」

 彩子はその言葉に歓喜に打ち震えた。

 きっと今は洋輔を救える存在になっているとそう思いたい。彼が救われていればいい。そう願わずにはいられない。

「私も洋輔といられて嬉しいよ?」
「うん……うん。彩子」
「ん?」

 洋輔の手が頬に触れる。徐々に距離が近づく。そのまま至近距離で数秒見つめあった。

 彩子が静かに瞼を閉じれば、触れるだけの、でも少し長いキスが降りてきた。



 自宅に帰った彩子はベッドに寝転ぶと小さく「好き」とつぶやいていた。ずっとずっと言いたくてたまらなかった。溢れだしそうだった。

 彩子は枕を抱えると、今にもはち切れそうなその想いを閉じ込めるように、ぎゅっと抱きしめた。そうしてそのまま眠りに落ちた。

 目が覚めれば、はち切れそうだった想いは幾分かマシになっていた。
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