束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 交流会についてのメールは別の人間から送られていたので気づかなかったが、どうやら小谷もこの交流会を取り仕切るメンバーのようだ。今は機材準備をしている。


 小谷の存在に気づいたあと、そっと隣の洋輔を見やれば、そこには何とも柔らかい表情を浮かべた洋輔の姿があった。


 あー、これが本物に対する態度なのかと彩子は思った。


 彩子にも優しい表情は浮かべてくれるが、それを目の前にすれば、二つが異なるものであることは明白だった。どこか甘さを含んだ表情は洋輔の恋心を物語っている。こんなところで見せつけられるとは思いもしなかった。

 彩子はそれ以上その姿を見たくなくて、ただじっと前方のスクリーンだけを見ていた。


 気づけば参加者が集まり、交流会の説明が始まっていた。彩子はすぐにそちらへと意識を切りかえた。
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