束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「折戸さんのテーブルすごく盛り上がってましたね」

 乾杯をしてビールを煽っていれば、目の前にいた鈴木孝也(すずきたかなり)が話しかけてきた。確か品質管理部の人だ。

「あー、あれは文房具談議に花が咲いてたんですよ」
「なるほど。やっぱり同じ趣味の人たちが集まるとそうなりますよね」
「ですね」
「でも、折戸さんのところも松藤さんのところもすごく人気でしたよね。お二人のテーブルの争奪戦でしたよ」

 食事会は好きな先輩社員のところで話を聞けるルールだったのだが、彩子と洋輔のテーブルはすぐに埋まったのだ。やはり自分で商品を考えたいと思う人は多いだろうから、二人のテーブルが人気なのは頷ける。

「まあ花形の部署ですからね。松藤はあの通りですし」
「いやいや折戸さん人気もすごかったですよ。質問コーナーでの折戸さんのお話すごく面白かったですから。私も思わず聞き入っちゃいました」

 鈴木はなかなかに誉め上手らしい。

「えー、まいっちゃうな。ありがとうございます」
「あはは。折戸さんは気さくな方ですね。話しやすいです」
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