束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「彩子、ごめんね。待っててくれてありがとう。小谷は知りあいで放っておけなかったから」
「ううん。大学のときの知りあいでしょ? 恵美から聞いて知ってる」
「そっか。ごめん。帰ろうか」

 今日の洋輔は謝ってばかりだ。罪悪感があるのだろう。だがそうされると彩子はかえって惨めな気持ちになる。謝らずに堂々としていてほしかった。

 それは彩子の贅沢な願いでしかないのだろうが。


 洋輔に手を握られ一緒に歩きだした。路線が違うからあと数十メートルも歩けばお別れだ。

 こういうときいつもなら泊まりにいくと言うのだが、今日はその距離が許されないような気がした。今は一人でいたいんじゃないかと思ったのだ。

 そしてそれは彩子も同じだった。
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