束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「あの、折戸さん。昨日はご迷惑おかけしてすみません。ありがとうございました。これお水代です」

 出社して仕事をしていれば、小谷が彩子のところまでやってきた。

 一応昨日のことを覚えているらしい。律儀に水代まで渡された。大した金額ではないので別にいいのだが、受け取ってやったほうが本人の気が晴れるだろう。そう思い素直に受け取れば、小谷は花が開いたようにとてもかわいらしく微笑んだ。

 どうやら小谷はとても素直な人間らしい。

 この見た目でこの素直さとくれば、誰から見てもかわいいに違いない。彩子もかわいいと思った。同時にこれは勝てないとも思った。

 洋輔が忘れられないのも当然だ。


 小谷は彩子のもとを離れるとそのまま洋輔のところへ向かった。洋輔にもお礼と謝罪の言葉を述べているのだろう。

 その様子を見ていたくなくて、彩子はすぐさま仕事に意識を集中させた。
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