束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 そうして楽しく食事をしていれば、あっという間にデザートがやってきた。黒蜜きな粉のわらび餅だ。

 デザートを前にわくわくしていれば、洋輔が待ったをかけるように声をかけてきた。


「彩子。はい、これ。クリスマスプレゼント」

 洋輔のことだから用意してくれているとは思ったが、実際に渡されると嬉しいものだ。

 だが同時に先日のことが思いだされて複雑な気持ちになる。それを振り払うように彩子は明るい声を出した。

「ありがとう! 開けてみてもいい?」
「どうぞ」

 丁寧に包装を解いてプレゼントを開けてみれば、シックなデザインの手袋が出てきた。まさに彩子好みのデザインだ。冷え性の彩子のことを想って選んでくれたのだろう。これ以上ないほどに嬉しいプレゼントだ。

 しかしこのデザインの手袋はきっと洋輔がいたあの店には置かれてないだろう。少し切ない気持ちが蘇ってくる。
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