束の間を超えて ～片想いする同僚兼友人に、片想いをした～ 【番外編追加済】

「あ、じゃあさ、平日私ご飯作りに来ようか？　私は割と余力あるし」
「いや、それは悪いよ。逆の立場だったらどう思う？」
「うっ……まあ気が引けるね」
「そうでしょ？」

　逆のことをされれば確かに気が引ける。だがこのまま引き下がりたくもない。

「じゃあ、火曜と木曜だけ作りにくるのは？　それで週末は洋輔が疲れてなければ一緒に過ごすってのはどう？」
「さすが。絶妙な提案。それじゃあお言葉に甘えようかな。でも無理はしないでね」

　洋輔が承諾してくれて彩子はほっとした。

「うん、わかってるよ」
「あと週末は絶対ね」
「えぇ？　絶対なの？」
「うん、絶対。だって彩子が元気の源なのに、週末会えなかったら元気出ないじゃん」

　出た。洋輔お得意の口説き文句だ。

　いや、洋輔に口説いている意思はないからそうは呼ばないのかもしれない。だがこれを口説き文句と言わずして何と言えよう。

　あまりにも簡単にこういうことを言ってくるものだから、彩子は自身の内情を知られたくなくてついつい非難の声を上げるのだ。