青空の向こう
出だし・・・それは旅の始まり
私が旅に出ることになったのは、人生の転機を求めての事だった。
私が住んでいる村は文字通り小さな村で医者もなく、村長が総てを取り仕切っている、小さな村である。良く言えば村全体が家族ぐるみのアットホームの村。
しかし、逆に言えば、村人から一歩外れたら・・・・はみ出し者扱いされる村である。

そして私は・・・はみ出し者である。気がついた時には村で唯一の占い師の家で 生活していた。
占い師の話では、家の前に捨てられていたそうだ。真冬の寒い日で、気が付かなかったら死んでいただろう、と言われていた。
そして助けてもらった私は、占い師の家で下働きをしながら生きていた。
それしか知らなかったし、それだけしか生きる術がなかったのである。

時々話しに聞く外の世界に興味もあったし、行ってもみたかったが占い師がそれを許さなかった。そのために、私が知っているのは、小さな村と占い師の家と家の裏にある森、それだけが世界の総て。

子供の時から聞く外の世界に身を焦がすように憧れていても出て行く事の出来ないもどかしさ。それがつらく、悲しかったが、育ててもらった占い師を裏切る事もできず無為に過ごす日々
しかし、それも今日まで、私は村を出ることとなる。
私の唯一の保護者である占い師が亡くなったのである。頼れる身内が亡くなった以上この村に留まる理由はなかった。

私は占い師の弔いをすませると直ぐに旅立ちの支度を始めた。
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