私 ホームヘルパーです。
 あちらこちらで雑談をしながら料理を作ったり掃除をしたりしてます。 時々、鈴子さんからメールが着たりもしてますねえ。
家を出るとメールに目を通して返信してから次の家へ、、、。 そうやってバタバタ走り回るんです。
 でもさあ、なかなか痩せないのよねえ。 痩せたいのにどんどん食べちゃって、、、。
ずーーーーーーっと動き回ってるから肉も野菜も美味しくて堪んないの。 ご飯だって山盛りにしちゃうしね。
狸親父は何をしょぼくれてんだかご飯をあんまり食べてくれません。 ってか、もともとが少食だったのよね?
そこへもって毎晩のように付き合いで飲んでたものだから余計に食べれなくなったのよ。
だからかな、、、夜の絡みは超超超激しいの。 ほんとにいい加減にしてほしいわ。
 どっかに癒してくれる王子様は居ないのかなあ? 夢見気分で家に帰ってきたら、、、。
 「おー、お帰り。」だって。 狸がお茶を飲んでましたわ。
 「何でこんな時間に居るの? まだ4時よ。」 「いいんだ。 早く終わったから。」
「え? 山下さんたちもそうなの?」 「ああ、あいつらはまだやってるよ。」
(じゃあ、あんただけ放り出されたんかーーーーーーーーーい? この役立たず目!) 溜息しか出ないわよ。
 部屋に入ろうとしたら後ろから狸が攻めてきました。 「やめてよ。 子供たちが帰ってくるでしょう?」
「いいじゃないか。 たまにしかやれないんだから。」 (それはあんたの勝手ですわ。)
 もがいてるんだけど狸って意外と腕力強いのよ。 気付いたら抱き込まれていて萌えまくってました。
 「激しかったな。」 「よほどに欲求不満だったのね?」
「ああ、そうだ。」 「じゃあさあ、その分も仕事で発散してよ。」
「何で?」 「もう子供は要らないから。」
 立ち上がって台所へ行くんですけど、振り向いたら狸は寝てましたわ。 平和なのねえ。
そこへ娘ちゃんが帰ってきました。 「ただいま。 あれ? お母さん パンツ見えてるけど、、、。」
「え? 何々?」 「パンツ、、、。」
何気に確認するとスカートが捲れ上がったままでして、パンツが見えすぎるくらいに見えてました。 いやーん、馬鹿。
 それを隠して澄ました顔で夕食を作ってます。 今夜はスパゲティーとスープにしようか。
たまには洋食にしないと、、、、。 そう思って麺を茹でてます。
 鼻歌でも歌いながら茹で上がるのを待ってるんですけど、、、。 それを娘ちゃんがボーっと見てますです。
「お母さん 幸せそう。」 「何でよ?」
「だってさっきからずーーーーーっと歌ってるじゃない。」 「ああ、これは、、、。」
「いいこと有ったんでしょうねえ?」 「無いよ。 無い無い。」
「顔に書いてあるわよ。 うっとりしそうだって。」 「え?」
思わずこけそうになりましたわよ。 そんなにニヤニヤしてたのかなあ?
確かにね、王子様に襲われたいとは思ってるけど、まさかあれが王子様?じゃないよね?
あの狸もたまにはいいことやるんだなあ。 って何よ!

 さあさあ、夕食ですわよ。 とはいっても狸はまだまだ寝てますです。
起きたら勝手に食べるだろうから、、、。 そう思って狸の分は置き去り。
娘ちゃんはやっぱりニヤニヤが気になるようでして、私の顔ばかり覗き込んでます。
可哀そうだから3000円 お小遣いをあげました。 やっちゃった。
「ねえねえ、お母さんもいいこと有ったんでしょう?」 「あんたは有ったの?」
「私はお母さんが大好きなのよーーーー。」 そう言って娘ちゃんはまたまた飛び付いてきましたです。
いきなりだったから驚いて抱いちゃったわよ 馬鹿。 でもなんか嬉しそう。
油断してたら頬っぺたにチューしてきた。 あーんもう、萌えるじゃないよ。
そのまま娘ちゃんを押し倒して甘えるだけ甘えちゃったわ。 欲求不満なのかなあ?
「お母さん、激しいなあ。 汗だくだよ。」 「そう? お風呂入ればスッキリするわよ。」
「じゃあさあ、お母さんと一緒に入りたい。」 「うーん、忙しいから後でね。」
 慌てて部屋に飛び込んだのにドアを閉めてなかったのねえ。 ニヤニヤしてるのを息子君に見られちゃったわよ。
何でさあ、うちの家族って揃いも揃って変なのよ?

 さあさあ、朝になりました。 今日も朝から大変です。
え? 何処のママも大変だって?
そりゃあ分かってるわよ。 うちだけじゃないことくらいは、、、。
 「おはよう。」 眠そうな狸が食堂へ入ってきました。
「今日も頑張ってね。」 ニコニコしながら渋いお茶を出しますです。
それを飲みながら何か考えている狸、、、。 「今日さあ、仕事が遅くなるんだ。」
「いいことじゃない。 やれるだけやって稼いできてよ。」 「そうか。」
ということは、、、、、10時くらいになるんだな。 よしよし。
 私は何気に狸のワイシャツを見てしまった。 「あらあら、汚れてるじゃない。 着替えてきてよ。」
「そうか。」 それくらいなあ、自分で気付けよ 馬鹿。
 食事を済ませたら私も事務所へ直行。 公子さんが居ないのを確かめてから中へ入ります。
ヘルパーの人たちとも挨拶を交わしていざ出発ーーーーーーーー。 鈴子さんの車に乗せてもらってたら公子さんが、、、。
 でもでもでも、私に気付く間もなく事務所へ入っていきましたわ。 ラッキー!

 「今日は斎藤さんと長幸さんと松川さんね。 これだけやれば昼休み。」 ブツブツ言いながらメモを確認します。
「あらあら、公子さんが行ってた人たちばかりねえ。」 「そうなんですか?」
「みんなね、誰かに替えてくれないかって言ってたのよ。」 「そうなんだ。」
「公子さんはね、、、。」 鈴子さんが耳打ちしてきます。
 「えーーーーーーーーーーーーーー?」 「武井さん 驚き過ぎ。」
「だってだって、公子さんがそんなに料理が下手だったなんて、、、。」 言い掛けた私の口を慌てて鈴子さんが塞ぎました。
「何? 何?」 私が目を回していると、、、。
 「大声で喋ったら所長に聞かれちゃうでしょう? 所長は公子さんの旦那さんなんだから。」 「すいません。」
 「まあ、驚くのも無理は無いわね。 最初に付いて行ったのが公子さんなんだから。」 「そ、そうですよ。 あははは。」
 「事故の無いように行ってらっしゃいね。」 鈴子さんは笑顔で私を送り出してくれました。

 さあさあ、これからヘルパーの本領をお見せしますよ。 って言ってもやってることはみんな同じなんだけどね。
ささっと掃除をして小物を片付けて窓もきれいにしまして、、、。 斎藤さんたちはそんな私にお茶を出してくれました。
それを一気に飲んでから次の家へ、、、。 途中でコンビニにも寄りましょうかね。
だってさあ、援助に入ってるお宅でおトイレまで借りれないからさあ。 あの時はちゃっかり使って思い切り怒られたけど、、、。
 午前中の仕事が終わると3時までは暇だから家に帰ってきます。 そしたら玄関の鍵が開いていて、、、。
「何で?」 台所に入ってみると狸が昼食を食べてましたわ。
「どうしたの?」 「3時からもう一度出掛けるんだ。 そしたら遅くまで帰れないから。」
「そっか。 勤務時間を変更されたのね?」 結局は役に立ってないやないかーい。
「もっとしっかりと使ってもらってよ。」 「これでもいいほうなんだぞ。」
「何処がよ? 勤務時間を変えられただけでしょう? それもさあ、夜遅くまで何をするの?」 「まだ聞いてない。」
「アホか。 あんた終わってるわ。」 「そうでもないぞ。」
 狸はのんびりとお茶を飲んでいるんですけど、なんか動きが怪しい。 気付いたら私の膝枕で寝てました。
動けんやないかーい。 昼休みくらいのんびりさせてよね タコ坊主。
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