私 ホームヘルパーです。
 なんとかご主人様を蹴落として私も昼休みを、、、。
と思ったら玄関で誰かの声がする。 (誰だろう?)と思って出てみたら、、、。
「宅急便です。 百合子さんに、、、。」 「支払いは?」
「ああ、口座落としなので頂戴してます。」 「ああ、どうも。」
 知らない間に娘ちゃんがネットで買い物をしていたらしい。 (何を買ったのかなあ?)
 まあ、見ないでおきましょうか。 それが母親の優しさ?よね?
というわけで、またまた邪魔が入ったので今度こそは昼寝を、、、。 「さて、行ってくるか。」
 狸もやっとやっと重過ぎる腰を上げたようですねえ。 よしよし。
私はこれから寝るのよ。 邪魔しないでね。
 と思ったら、、、。 「俺の財布を知らないか?」だって。
「どっか置き忘れたんじゃないの?」 「そうでもないんだけどなあ。」
「じゃあ、私は知らないわよ。 寝るから黙っててね。」 そう言って部屋のドアを閉めます。
冷たい奥さんだなあ。 探してやればいいのに、、、。

 でも気付いたら狸は居なくなっていたので見付けたんでしょう。 お騒がせだわ まったく。

 それでですねえ、2時半までゆーーーーーーっくりと羽を伸ばしたので戦闘開始ですわよ。
 午後の一件目はなんとまあ高山さんね。 元気だよなあ、この人。
「おはようございまーーーす!」 「は? 今午後3時なんですけど、、、。」
元気良く飛び込んで行ったのに高山さんが冷たい顔で笑ってます。 「え? あ、そうだったわ。 あはははは。」
 「武井さん 笑い過ぎ。 なんか、つまらんことでも有ったんかいな?」 高山さんはキョトンとしています。
 「いえいえ。 何でもないですよ。」 「そうかなあ? 私 苦しんでますって聞こえるけど、、、。」
「へ?」 思わず私はつんのめりそうになりまして、、、。
 「ほらほら、やっぱりそうやんか。」 「え? でもでもでも、、、。」
「詰まってるんやったら話したほうがいいんじゃないのかなあ?」 「高山さんにですか?」
「別に俺じゃなくてもいいけどさあ、、、。」 私、この時はびっくりするほどドキューンの真っ最中だったんですよ 本当に。
(話そうかな、、、。) それで掃除しながら高山さんに旦那のことを喋っちゃいました。
 「ふーーーーーーーーーーん。 そうか。 んで?」 「え?」
「話を聞いとるとやなあ、アホらしい旦那やってことは分かったけどどうしたいん?」 「どうしたいって?」
 「別れたいとか殺したいとか有るやろう? 武井さんは何がしたいん?」 高山さんがそこまで突っ込むものだから考えました。
「分かんない。」 「アホか。 そんだけ悩んどるんなら何課考えるやろう?」
 「そうねえ。 考えるだろうなあ。」 「そんくらいやったらまだまだ大丈夫やな。」
「何が?」 「別れんでもやっていけるやろう。」
「そうかなあ?」 「決めるのはあんたやで。」
 「それもそうだわ。 あははは。」 「また笑うんかい。 悩んどらんやないかい。」
「悩んでます。 これでも。」 私は高山さんにそう言って家を出た。

 帰り道もあれやこれやと考えてみる。 確かに文句は言わないけれど、若い頃よりは冷めてるのよね。
私もおばさんになったのかなあ? ああ悔しい。
 それを思うと百合子は幸せよねえ。 ママにまで愛されてるんだから。
え? お前が勝手に愛してるだけだろう?
そんなこと無いわよ。 愛し合う時には忘れられないくらいに愛し合ってるしーーーーーー。
 それだってどっちから始まったのか分からない。 気付いたら激しくやってるんだもん。
旦那が淡白すぎるからこうなったのよ。 あの日以来ね。




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