ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
「……そいつに目移りしないでね」
「えっ!?」
日華さんもしかして、ヤキモチ妬いてる?
「だって嘘でもあかりが結婚したいって言った人なんだよ」
「そ、それは……咄嗟に出た嘘で実際はただの幼馴染っていうか、兄妹みたいなものですよ」
「それでも、そんな人があかりの傍にいるんだって思うと……」
「日華さん、ヤキモチ妬いてます?」
「悪い?」
いや、かわいいです……。
思えば日華さんは学生時代から結構ヤキモチ妬きだったな。今では誰しもが魅力を感じる人気俳優さんなのに。
「あかりは自覚がなさすぎなんだよ。自分に魅力があるって全然思ってない」
「実際ないと思いますけど……」
「ほら、全然わかってない」
クールでミステリアスだと言われる彼が、こんな風にヤキモチ妬いてむくれる一面があるなんて誰も知らないだろう。
この表情を独り占めできるのは私だけなんだと思うと、嬉しい。
「日華さん以上に好きになれる人なんていないですよ」
離れていてもずっとあなただけが好きだった。再会して、その気持ちは大きくなっていると思う。
「……本当は今すぐ会いに行って抱きしめたいんだけど」
「ダメです!」
「わかってるよ。もう少ししたら落ち着くと思うから、それまで我慢する。
また連絡するね」
「はい。お仕事頑張ってください」
「好きだよ、あかり」
「っ!? ふ、不意打ちはずるいです……!」
「言いたくなったから。じゃあ、おやすみ」
……ずるい。ずるすぎる。
何だろう、一緒に住んでいた時よりも距離が近いように感じる。
心の距離が縮まっているからなのかな。
「……私も好きです」
次会えた時にちゃんと伝えようと思った。