ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


「ん〜〜!美味しい!」

「普通プリンから食べるか?」

「いつ食べようが私の勝手じゃない」

「あかりのそういうとこ、ガキの頃から変わってないな」

「大きなお世話です〜」


 そんな私たちのやり取りを星來はじっと見つめていた。


「そうだ星來ちゃん、シャボン玉で遊ばない?」

「しゃぼんだま?」

「見てて」


 恭ちゃんはシャボン玉の液と吹き棒を取り出し、シャボン液をたっぷり浸けてフーッと吹く。
 目の前に小さなシャボン玉がいくつも浮き上がった。


「しゃぼんだま!」

「わー!すごいねぇ」

「星來ちゃんもやってみる?」

「うん」


 恭ちゃんから受け取り、星來も真似してフーッと吹いてみる。すると恭ちゃんのより小さなシャボン玉ができあがった。


「上手上手!」


 キラキラと光るシャボン玉がふよふよと空中に漂い、やがて弾けて消える。生まれてはまた消える。
 そんな一瞬の光景がとても綺麗だ。


「ゆっくり吹くと大きいシャボン玉ができるよ」


 そう言って恭ちゃんはなるべくゆっくり膨らませ、手のひらに乗るくらいの大きなシャボン玉を作った。


「恭ちゃん上手!」

「まあな」

「大きいシャボン玉だねぇ、星來」

「ママ、おっきいしゃぼんだますき?」


< 110 / 195 >

この作品をシェア

pagetop