ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 星來がじっと私の目を見つめて尋ねる。


「ん?うん、好きかな?」

「せいらもおっきいのつくる」


 そう言って何やら意気込んだ様子の星來は、ゆっくりゆっくり吹いてみるけど、息が続かなくて小さなまま吐き出される。
 頑張って何度も吹いてみるものの、なかなか大きなシャボン玉は作れなかった。


「できない……」

「そんなことない、大きいのもあるよ」

「ねぇ星來、ママ小さいシャボン玉も好きだよ。だってほら、すっごくかわいいから」

「……でも、おっきいの、せいらもつくれるもん」

「そうだね。作れるよね」


 べそをかく星來を抱っこする。

 何だか星來、いつもと様子が違うんだよなぁ。こんな風にムキになることなかったと思うんだけど。


「せいら、もうかえる……」

「もう帰るの?」

「かえる……」


 私の胸に顔を埋める星來。どうやら本格的に拗ねモードみたいだ。


「ごめんね、恭ちゃん」

「いや。もしかして俺、嫌われたかな?」

「そんなことないよね?」

「……。」


 星來はぎゅっと私にしがみついたまま、返事がない。


「ママのこと取られるって思ったのかもな」

「え?」

「大丈夫。ママは星來ちゃんが一番だよ」


 そう微笑んで恭ちゃんは星來の頭を撫でてくれた。やっぱり星來の反応はなかった。


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