ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


「俺にとってはあかりが一番綺麗だよ」

「もうっ!やめてください!星來が見てる前で……」

「もちろん、星來ちゃんもとってもかわいいよ」

「わーい!」


 日華さんのストレートすぎる愛情表現はいつもドキドキさせられる。
 こんな風に真っ直ぐ伝えられて、疑える余地なんてない――。


「食べ終わったらもう一つ連れて行きたいところがあるんだけど、いいかな?」

「あ、はい」

「どこいくの?」

「次はもっと綺麗なところだよ」


 そう言われて連れられた場所に心底驚いた。何とヘリポートだったからだ。
 ホテルから徒歩数分程度の場所にあり、既にヘリコプターが待機している。


「これからお空を飛ぶよ」

「とぶの!?」

「うん!飛ばされないように、ちゃんとおてて繋ごうね」

「うん!」


 まさかヘリコプターに乗るなんて思っていなかったから、まだ驚きと戸惑いが隠せない。
 星來は日華さんに手を繋がれて、ゆっくりゆっくりヘリコプターに乗り込む。その後に私の手も引いてくれた。


「星來、ママにつかまっててね。怖くない?」

「こあくないよ」


 独特の浮遊感にも動じず、星來は終始ワクワクした表情で窓の外を見つめていた。
 段々と地上を離れ、宝石を散りばめたような美しい夜景が眼前に広がる。スカイツリーや東京タワーがまるでミニチュアのようだ。

 レストランから見た夜景も美しかったが、こんな風に東京の夜景を見下ろすことはない。思わず言葉を失ってしまう程だった。


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