ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


「すごい……!」

「すごいね」

「せいらのおうちどこ?」

「うーん、あっちの方かなぁ?」

「にちかさんのおうちは?」

「あの辺かな」

「にちかさん、せいらのおうちこないの?」


 その質問には、星來の頭を優しく撫でた。


「ごめんね。まだ行けないんだ」

「いつくるの?」

「実は、今日からしばらく会えなくなるんだ」


 日華さんは少し寂しそうにしながら、私の方に目を向ける。


「まだ情報解禁前で詳しいことは言えないんだけど、映画の撮影で海外に行くことになったんだ」

「そうだったんですか?すごいですね」

「ロサンゼルスに1ヶ月くらいかな。月一で会えるなんて言っておいてごめん」

「いえ、素晴らしいことですよ。頑張ってください」

「ありがとう」


 それから星來に向き直る。


「ごめんね星來ちゃん。お土産いっぱい買ってくるからね」

「星來、ママと待ってようね」

「いやっ!!」


 星來は大声をあげた。


「やだ!まってるのやだ」

「ごめんね」

「やだっ。いっちゃやっ」

「星來、日華さんお仕事なんだからママとお留守番しよ?」

「やあだっ」


 とうとう星來は泣き出してしまった。大声をあげて泣きじゃくる星來を抱っこし、背中をポンポン叩く。


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