ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


「いいんですか?ありがとうございます」

「バラの花言葉は本数で変わるって知ってた?」

「そうなんですか?」


 言われてバラの本数を数えてみたら、全部で12本あった。


「12本ありますね」

「意味は後で調べて。……ねぇあかり、今日は朝まで一緒にいたいんだけど」


 耳元で甘く囁かれ、思わずビクッと反応してしまう。自分でも顔が熱っていくのがわかった。


「……私も同じこと思ってました」


 声が震えてないか不安だった。緊張している私を察してか、解きほぐすようにちゅっと軽く額にキスされる。


「さっきのホテルに部屋を取ってあるんだ。もちろん、トップシークレットで」

「はい……」

「明日は準備をして明後日にはロサンゼルスに発つから」

「早いんですね」

「だから、今夜は離したくない」


 熱を帯びたような眼差しを向けられ、ダメなんて言えるわけがなくて。
 むしろこんなに特別で極上の夜を過ごさせてもらったんだから、私からも何か返したいと思った。日華さんの頬に自分から唇を寄せる。


「離さないでください」


 日華さんは優しく微笑むと、ぎゅうっと強く抱きしめてくれた。私も日華さんの背中に腕を回し、強く抱きしめ返す。

 この幸せがずっと続いてくれることを、心から願った。


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