ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
第五章
優しい朝
ふっ、と目を覚ました。
スマホを取って時間を確認しようとして、後ろからがっちりホールドされていることに気づく。
向きを変えると、日華さんの綺麗な寝顔が至近距離にあった。睫毛が長くて、鼻筋がスッとしていて見れば見る程美しい。
髭が伸びて無防備なところは可愛すぎる。ブロマイドにしたら高値で売れるだろう、人気俳優の寝顔をタダで独り占めしていいのだろうか。
起こさないように、ゆっくりと起き上がって腕の中からすり抜ける。
疲れているだろうに、私と星來のために色々考えてサプライズをプレゼントしてくれた。あまりの規模に驚いたけど、とても嬉しかった。
またしばらく会えなくなるけど、大丈夫。
離れていてもあなたがくれる溢れんばかりの愛を抱きしめて、頑張れるから。
星來が起きる前に着替えて顔を洗って歯を磨いて、ドレスも綺麗にしておかないと。
床に乱雑に落ちているドレスやら下着を拾い上げ、昨夜の情事を思い出して恥ずかしくなる。とりあえず下着は付けてバスローブを羽織り洗面台に行くと、「あかり!?」と大声で呼ばれた。
洗面台からひょこっと顔を出す。
「日華さん、おはようございます」
「あかり……」
日華さんはホッとしたような表情になると、起き上がって私を抱きしめた。
「よかった、またどこかに行ってしまったのかと思った……」