ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 3年前のことを思い出し、ズキリと心が痛む。
 腕を回し、ぎゅっと抱きしめ返した。


「もうどこにも行きません」

「うん、もう離してあげられそうにない」


 少し体を離して、私の頬にそっと触れる。


「体大丈夫?」

「はい」

「ごめん、あんまり加減できなかったかも」

「大丈夫です。その、嬉しかったので」


 思い出すとまた体が疼く。全身くまなく愛されて、すごく幸せだった。
 顎を持ち上げられ、キスの合図とともに目を閉じる。


「ママー?」


 唇まであと数ミリというところでハッとした。慌てて離れ、「着替えてきてください」と日華さんの背中を押す。


「せ、星來?おはよう!」

「ママ〜」


 星來が両手を広げて駆け寄ってきたので、受け止めて抱き上げる。


「ごめんね。起こしちゃった?」

「ううん。パパは?」

「ここだよ」


 着替えた日華さんが顔を覗かせると、星來はパアッと嬉しそうに笑う。


「パパ!」


 私の腕から日華さんの腕の中に飛び込む星來。日華さんもしっかりと抱きしめた。


「パパ?」
「パパだよ」
「パパ!」


 ものすごく嬉しそうに微笑む星來にハートを撃ち抜かれ、ぎゅうぎゅう抱きしめて悶絶しているのが背中から伝わる。


「ロサンゼルス行くのやめようかな……」
「何言ってるんですか!」
「仕事行きたくない」


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