ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
「すごく楽しみにしてます。星來がいるからなかなか映画館に行けなかったけど、絶対観に行きます。星來にも観せたいなぁ」
「まだ早いかな」
「大きくなったら、パパが出てる映画観ようね」
星來が観たことある映画といえば、キッズアニメ作品だけだから、いくらパパが出演していても難しいと思う。
いつか星來と二人で観に行けたらいいな。
「パパみるの?」
「そうだよ」
「みたい」
「うん、観に行こうね」
「気合いが入るなぁ」
「そうですよ。だから頑張ってきてくださいね」
すると日華さんは少し不貞腐れたような表情をした。
「なんかあかり、全然寂しがってくれないんだね」
「そうですか?」
「だって1ヶ月も会えなくなるのに」
「今までのこと考えたら短いです。それにあの地平監督ですよ?もっと喜んだらどうですか?」
「いやこれでもすごくテンション上がってるんだけど、あかりと星來に会えなくなるのかと思うと寂しくて」
まるでしょぼんとした大型犬みたいでかわいい。こういうところが愛おしいなぁと思う。
「なんて、いつまでもそんなこと言ってられないね。朝ご飯食べ終わったら出るよ。
出発の準備をしなきゃいけないし」