ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


「マネージャーさんからの連絡だった。無事みたい」

「よかったな」

「ごめんね、恭ちゃん。みっともない姿見せちゃったね」

「今更俺の前では強がるなよ」

「そうだね、ありがとう」


 半分家族みたいに育ってきた恭ちゃんだからこそ、安心できる。
 いつか日華さんにちゃんと紹介したいな。


* * *


 翌朝、9時過ぎに電話がかかってきた。名前を見てスマホに飛びつく。


「日華さんっ!!」

『あかり?』


 大好きな日華さんの声だ。声が聞けただけで涙が出そうになる。


『連絡が遅くなってごめんね』
「いえ、そんなことより大丈夫なんですか?」
『うん、退院してホテルに着いたところ。今こっちは17時過ぎかな』
「すごく心配したんですよ?」
『ごめんね。張り切りすぎて体が悲鳴を上げたみたいだ』


 日華さんはおどけた口調で言った。


『もう少ししたら撮影も再開できるから。大幅に遅らせてしまって本当に申し訳ないよ』
「今は体を休めることが第一です。しっかり休んでくださいね。ご飯も食べてますか?」
『食べてる、食べてる。でも日本食が恋しいよ』
「帰ってきたら栄養満点の和食を作ります」
『本当に?』
「任せてください」
『あかりの手料理が食べたくて仕方なかったんだ。頑張れるよ』


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