ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 離れた唇はまたすぐに重なり合い、ついばむように何度も食べられる。私は自然と彼の首に手を回し、繰り返される甘いキスを享受した。


「ん……っ、ふぅ……っ」


 次第に深く舌が絡まり合い、星來が起きたらどうしようと思うけれどやめられない。
 ずっとこうしていたかった。ずっと触れたくて仕方なかった。


「……あかり、今日は泊まるでしょ?」

「いいんですか?」

「あかりが足らなくて死にそうなんだ」

「死んじゃダメです」

「ねぇ、いい?」


 ……本当は、多分ダメ。
 でも私も同じ気持ちだ。日華さんが足らない。

 回す手を強め、ぎゅうっと抱きつく。


「私も一緒にいたいです……」


 何故か急に泣きたい気持ちになる。今目の前に日華さんがいてくれることが嬉しくて。
 ああ、私はこの人のことを愛しているのだと実感させられる。


「あかり、手出して」


 しばらく抱きしめ合った後、そう言われて右手を差し出すと、「左手だよ」と言われた。


「えっ……!」


 差し出した左手の薬指に、大振りのダイヤモンドが輝く指輪を嵌められる。私は思わず指輪と日華さんを交互に見た。


「これって……」

「なかなか用意できなくてごめんね。ロスでこれだけは買いたかったんだ。

加賀美(あかり)さん、結婚してください」


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