ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
三者三様の驚きと興奮っぷりで私は恥ずかしくて仕方ない。
「やめてよもう!日華さん困ってるじゃない!」
「だって信じられるわけねーじゃん。姉ちゃん、どうやって落としたんだよ!?」
「光!!」
とにかく玄関の前でずっと突っ立ってもらうわけにもいかないので、中に上がってもらった。
リビングにお通ししてお茶を出すや否や、うちの家族は日華さんに質問攻め。
「普段何を食べてるんですか?」
「休みの日は何をしてるんですか?」
「姉ちゃんとどうやって出会ったんですか?」
遠慮なくグイグイ尋ねられて、日華さんも圧倒されている。私はとにかく恥ずかしい。
家に芸能人が来て浮かれる気持ちはわかるけど、一応結婚の挨拶で来てるんですけど……。緊張感の欠片もなくて呆れてしまう。
日華さんは一つ一つの質問に丁寧に答えてくれた。
「あかりさんとは大学の演劇サークルで出会いました。その当時から付き合っていました」
「マジか!やるなぁ姉ちゃん!」
「光!ちょっと黙ってて!」
「僕は大学を卒業してからプロの俳優としてデビューしました。3年前からお仕事をいただけることが増え、仕事が軌道に乗ってきました。僕のキャリアを思ってあかりさんは別れる決断をしたのだと思います」