ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
その言葉には俯いてしまう。流石にみんな黙って静かに聞いていた。
「でも、どうしても諦められませんでした。僕にはあかりさんしかいないと思っていたからです。
彼女と再会してその気持ちはより大きく確かなものになりました。
不安や心配も多々あると思います。現にまだ事務所を説得できていません。でも、必ず説得します。
あかりさんも星來も絶対に守ります。だからお願いします、どうか結婚を認めてください」
真摯な姿勢で深々と頭を下げる日華さんに、涙が出そうなくらい感動した。一緒になって私も頭を下げる。
「お願いします」
そんな私たちに向かって、お父さんは優しく微笑みかける。
「認めるだなんて、元から反対する理由なんてないよ」
「そうよ。あかりが絶対に星來の父親のことを話さなかったわけね。まさか相手が人気俳優さんだとは思ってなかったけど」
「日華さん。あかりはね、昔から大事なことは自分一人で決めてしまうんです。
もっと頼って欲しいのに、心配かけたくないのか一人で無理をするからそれがまた心配なんですよ」
お父さん……。
「あかりにとって頼って甘えられる存在があなたなんでしょうね。どうか娘をよろしくお願いします」
深々と頭を下げるお父さんに、また涙が出そうだった。
「必ず幸せにします」
日華さんが真摯に答えてくれたことも嬉しかった。私はもう、充分幸せだ。