ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
止まらぬ独占欲 side.日華
「初めまして、陽生日華です」
「火浦恭一です。うわ、本物だ……」
今日はあかりの幼馴染の火浦さんを紹介してもらった。あかりが恭ちゃんと呼び、随分心を開いている相手だ。
火浦さんは如何にもデキるビジネスマンといった雰囲気だった。火浦さんは休日出勤日だったそうで、その後に時間を作ってくれたのでスーツ姿なのだ。
「お忙しいところお時間いただき、ありがとうございます」
「いや、こちらこそ。こんな普通のカフェテラスで大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。こういうところ、なかなか来れないので新鮮ですね」
オフィスビル内のカフェテラスは撮影でしか行ったことがないので、世のサラリーマンはこうして仕事の合間にコーヒーを飲むのかとちょっと興味津々だったりする。
「こんなところに芸能人がいるなんて思いませんよ」
オフィスビル内だからこそ、一人客が多くみんな自分のことに集中して周囲を見ていないというのも有り難かった。
子連れなんて俺たちくらいだ。
星來はあかりの膝の上でオレンジジュースを飲んでいる。
「実はこれから、日華さんのご実家にご挨拶に行くの」
「えっそうなのか!?」
「そう、日華さんとご実家のスケジュールがどうしても今日しか合わなくて、これからまた忙しくなるみたいだし無理言って時間もらってごめんね」
「いや、全然いいけど、やっぱり大変なんだなぁ」