ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
「じーたん、ばーたん。さよーなら」
「星來ちゃん、さようなら。またいつでも遊びに来てね。おばあちゃん、待ってるからね」
「はーい」
特に母親は孫が増えたことを大いに喜んでいた。
「あかりさん」
帰り際、父があかりに声をかける。
「改めて、星來ちゃんを一人でも育ててくれてありがとう。
まだまだ未熟な息子だが、これからはたくさん頼って三人で幸せになって欲しい」
父はあまり口数の多い人ではない。優しい一面もあるが厳しい人でもあり、実は子どもがいると話した時は「お前が順序を守らん奴だとは思っていなかった」と怒られた。
今日もほとんど喋っていなかった。もしかして反対されているのではないかと思った。
「日華、あかりさんのことちゃんと幸せにするんだぞ」
「はい」
でも、父なりに応援してくれていたのだ。その気持ちが嬉しかった。
一層身が引き締まる思いがした。
両家の顔合わせは正式に入籍が決まってから取り行うことになり、その日は終わった。
星來も楽しかったと言ってくれたので安堵した。
「日華さんのご家族も素敵ですね」
「そう思ってもらえたらよかった。特に壱葉がごめん」
「いえ、でもびっくりしました。ご兄弟揃ってイケメンなんだもの」