ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 どんな時でもあかりは背中を押してくれて、誰よりも応援してくれた。
 些細な変化にもすぐ気づき、支えようとしてくれる。あかりに何度救われたことか。


「これからもずっと傍にいてくれる?」

「当たり前じゃないですか……」


 あかりは美しい涙を溜めて、俺を真っ直ぐ見つめた。


「私の方こそ、傍にいてもいいんですか?」

「むしろいてくれなきゃ困る」


 あかりを引き寄せて抱きしめる。


「一生離さないって言ったでしょ?」

「はい……っ」


 涙を流すあかりの頬にそっと触れ、唇に触れようとしたその時――


「パパとママ、ちゅーするの?」


 後ろから覗き込む星來に声をかけられ、ハッと我に返って離れた。
 ここは車の中。正に出発するぞという時に話し込んでしまい、勝手に盛り上がってしまった……。


「はは、ごめんね星來。これから出発するよ」
「ちゅーしないの?」
「後でしようかな?」
「日華さんっ!!」


 恥ずかしそうに真っ赤になりながら、涙目で睨むあかりがかわいくて仕方ない。
 早く堂々と一緒に外を歩きたい。二人が俺の最愛の妻と娘だって言える日が、早く来て欲しい。

 その日が来るまできっとあと少し、ここからが勝負どころだと改めて気を引き締めた。


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