ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 秘密でいることは、もう結構慣れてしまった。
 連絡を取り合うこと一つだけでも気を遣わなければいけないけど、日華さんはいつでも私と星來のことを思ってくれていると伝わっているから。

 それに何となくだけど、あともう少しなんじゃないかなって気がしている。


「じゃあそろそろ星來を迎えに行くね」
「うん、私も帰るわ。今日は旦那に任せて来ちゃったし」


 今日は日華さんの実家に星來を見てもらっていた。ご挨拶させてもらって以降、一人では何かと大変だろうと色々と助けていただいて有難い。
 今日もたまには息抜きしていらっしゃい、と快く送り出してくれた。


「星來、迎えに来たよ」
「あっママ〜!」
「いい子にしてた?」
「あのね、ばーばとくっきーつくったの。ママにもあげる」
「ほんとに?すごいねぇ!」

「星來ちゃん、生地をこねるのとっても上手だったんですよ」
「ありがとうございます」


 星來が作った星型クッキーはとっても美味しかった。「パパにもあげる」って言ってたから、今度会えた時に渡そう。
 確か今日は日華さん、初日舞台挨拶のはずだ。そう思っていた直後、街中の巨大モニターに正に舞台挨拶の様子が映し出される。


「あっ!パパ!」


 思わず声をあげた星來に慌てて「しーっ」と言った。


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