ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 妃乃が戻って行くのと入れ替わりに、恭ちゃんが来てくれた。


「おめでとう、あかり」

「ありがとう」

「さっき星來ちゃんに会ったよ。すごくはしゃいでかわいかった」

「いつもと違う雰囲気にドレスまで着せてもらって、楽しくて仕方ないみたい」


 あんまりはしゃぎすぎて転ばないか心配だけど、両親がついてくれてるから大丈夫かな。


「それにしてもハワイにしては地味婚じゃないか?もっと派手にやればよかったのに」

「いいの。あまり大勢でやると星來との距離が遠くなってしまうから。
二人で相談してこうしようって決めたんだ」

「そうか」


 恭ちゃんは目を細めて優しく笑った。


「幸せになれよ」

「ありがとう」


 そして結婚式のセレモニーが始まる。
 どんな時でも味方でいてくれて、星來を妊娠した時も支えてくれた父と母。
 母がベールダウンしてくれて、父とともにヴァージンロードをゆっくりと歩く。その後ろではベールをしっかりと持って歩く私たちの最愛の娘・星來。
 大切な家族、友人たちに見守られながら、日華さんの元へと辿り着く。

 父の手から彼の手へと渡る前に、父は日華さんにしか聞こえない声で何を囁いた。日華さんは力強く頷いていた。


< 192 / 195 >

この作品をシェア

pagetop