ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
「さっきお父さんと何を話したの?」
小さく尋ねると、日華さんはちょっぴり悪戯な笑みを浮かべる。
「内緒。男同士の約束だから」
「何それ」
「それより、何度見ても今日のあかりは世界一綺麗だね」
「日華さんだって世界一カッコいいです」
これは本当のこと。純白のタキシードに身を包み、前髪を上げてセットしている日華さんはカッコいいだけじゃ足らない程。
「日華さん、私のこと諦めないでくれてありがとうございます」
私は一度諦めて自分から手離してしまった。この恋は終止符を打たなければいけない恋だと思っていた。
でも、あなたが諦めないで想い続けてくれたから、今がある。
「今とても幸せです」
大粒の涙を浮かべながら微笑んだ。日華さんは優しく微笑み返し、私のベールを上げる。
「これからもっと幸せにする」
そして私たちは誓いのキスを交わす。その後、リングピローに乗せた結婚指輪をニコニコ笑顔の星來が運んでくれた。
星來の笑顔を見たらまた目頭が熱くなり、ぎゅうっと強く抱きしめた。
星來が無事に席に戻れたことを確認し、私たちは指輪を交換する。二人で選んだ結婚指輪だ。
「これでやっと秘密じゃなくなったね」
私は泣き笑いを浮かべながら、大きく頷く。