ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 星來に弟か妹は無理だから、妃乃の娘とは仲良くしてくれたらいいな――。


「……ねぇ、あかり」


 話がひと段落したところで、妃乃は少し改まった表情になった。
 星來はホットケーキを食べることに夢中だ。


「星來ちゃんの前では言えないかもしれないけど……やっぱり誰が父親なのか、どうしても言えないの?」

「……。」


 星來は「おいし〜」とホットケーキを頬張っている。頬についたホットケーキの欠片を拭い取った。
 メイプルシロップで口の周りはベトベトで、ウエットティッシュで綺麗にする。


「あかり……」

「ごめんね、妃乃。それは妃乃でも言えない」

「っ、そっか……」


 妃乃はとても寂しそうにして、ズキリと胸が痛んだ。

 妃乃のことは大切な親友だと思っているし、とても信頼している。
 でも、星來の父親のことだけはどうしても言えない。

 何となく気まずい空気が流れた中、ファミレスに設置されていたTVにあるドラマのCMが流れた。


「あ、陽生(ひなせ)日華(にちか)

「っ!」


 思わずドキッとしてしまう。


「最近すごい人気だよねー。うちの会社の子たちもみんな陽生日華好きでさぁ」

「ママもこのしと、すきだよ」

「!? 星來!?」

「だってママ、このしとがでるテレビ、ぜんぶみてるもん」

「そ、そんなこと……!」


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