ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
* * *
翌日。真っ赤に腫れた目を冷やしてから、星來を保育園に連れて行く。
「じゃあね、星來。今日も頑張ってね」
「ママ」
「ん?」
「ママ、げんきないの?」
「……!」
星來の前では笑顔でいようと努めてたのに、ダメだな……。
私はしゃがんで星來に視線を合わせ、頭を撫でた。
「大丈夫。元気だよ」
「ほんと?」
「うん。ママ、星來がいてくれるからいつも元気」
「せいらのおかげ?」
「星來のおかげ」
すると星來はふにゃっと嬉しそうに笑った。
私は愛娘をぎゅっと抱きしめ、改めて行ってきますをした。
そうだ、私には星來がいる。
何より大事なのは、星來が幸せでいられること。
父親がいなくても不幸だなんてことはないんだから。
何があっても、絶対に星來の傍にいよう。
気を引き締め直して出勤したら、打ちひしがれるような事実を伝えられた。
「えっ契約終了……!?」
「申し訳ないけど、派遣さんを雇う余裕がなくなってきてしまって……今月中で終了とさせてもらいたいんだ」
「そんな……!」
「本当に申し訳ない。加賀美さんが悪いわけじゃないけど、上の決定でどうしようもなくて……」
突然の契約終了通告。
つまり来月からは無職になってしまう。