ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 そんな、どうすれば……!
 とりあえずデータ入力のアルバイトを増やすにしても、次の職を探さないとダメだ。

 まさか、こんなことになってしまうなんて。
 昨日あんなことがあった後に、派遣を切られるのは流石に堪える。
 陰鬱な気分を必死に押さえ込み、目の前の仕事に集中した。

 少しでも手を止めると、PC画面が滲んでぼやけてしまいそう。
 ダメダメ、気を強く持たなきゃダメだ。

 その日の昼休みに求人サイトに登録し、求人募集を探した。子持ちでもサポートしてもらえるような好条件の求人はないだろうか。


「……お疲れ様でした。お先に失礼します」


 なんてやっている間にあっという間に退勤時刻になり、保育園のお迎えに向かう。
 保育園に入る前、パンパンと頬を叩いた。

 暗い顔してたらまた星來が心配する。
 笑わなきゃ……!


「星來!迎えに来たよ〜!」

「あっママ〜!!」


 星來は私に気づくと、パァッと明るい笑顔になって駆け寄る。


「みてみて!きょうね、おえかきしたの!」

「そうなの?何描いたの?」

「ママ!」


 画用紙にはクレヨンで人の顔らしきものが、かわいらしいタッチで描かれていた。


「えーママを描いてくれたの?」

「うんっ!」

「わあ嬉しい!すっごく上手に描けたね!ありがとう、星來」


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