ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
私は改めて仏壇を見る。とても綺麗に整理整頓されているのが見て取れた。
「この家は元々祖父母の家で、祖父が亡くなってから祖母が一人になったから一緒に住み始めたんだ。
その祖母も去年亡くなったんだけどね」
「そうだったんですか……」
知らなかった。
付き合っていた時は一人暮らししていたけど、その後おばあさんと住んでいたなんて。
「あの、お線香あげてもいいですか?」
「えっ、うん、どうぞ」
「ありがとうございます」
静かに和室に入り、仏壇の前で正座した。
改めて写真を見て、和やかに微笑むおばあさんがとても印象的だった。
3年前、突然姿を消した私にご挨拶する資格なんてないかもしれないけど、これだけは言わせてください。
日華さんは沢山の人の心を掴む、素晴らしい役者さんです。
いつも応援させてもらっています。
「ママー、なにしてるの?」
「日華さんのおじいさんとおばあさんにご挨拶してるの」
「せいらもする」
「じゃあここに座って、おてて合わせようね」
星來も私の真似をして、目を瞑って手を合わせた。
この子がひ孫なんです、って紹介できたらよかったのにな――。
「……ありがとう」
「え?」
「いや、わざわざ線香あげてくれると思ってなかったから…」
「……いえ、お邪魔させてもらってるので」