ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
何を言い出すのかと言いたげに見つめる私を察してか、少し遠慮がちに頼まれる。
「さっきも言ったけど、頼んでいた家事代行の方がしばらく来れないみたいで……どうしようかなぁと困っていたんだ。
あかりが良ければだけど、来てくれたらとても助かる」
「……私が出入りするところを誰かに見られたらどうするんですか?」
「家政婦さんだと言えばいい。事実なんだから」
「……マネージャーさんは反対されるんじゃ」
「水川くん?元々家事代行サービスを紹介したのも彼だし、別に反対しないと思うけど」
……水川くん?
聞いたことのない名前に思わず顔を上げた。
「マネージャーさん、代わられたんですか?」
「え?ああ、前の人はチーフマネに昇格したから現場に来てくれるのは、水川くんって子だよ。
俺より若くてやる気があってすごくいい子なんだ」
あの金城さんはチーフマネに?
ということは、あまり顔を合わせることもない……?
「前のマネ、金城さんに会ったことあったっけ?」
「いえ、お名前だけ」
「そうか。金城さんは他の俳優も見ていて統括する立場になったんだよね」
「そう、だったんですね……」
「もちろん、生活に不自由ないくらいの給料は払わせてもらう。祖母がいなくなってから掃除が行き届かない部屋もあって、君が来てくれたらとても嬉しい」