ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
だからきっと日華さんも、星來の3歳という年齢から自分の子なんじゃないかと疑ったのではないかと思う。
だけど、この秘密は絶対に隠し通さなければいけない。絶対に。
* * *
「ママー、こんどのはっぴょおかい、これる?」
ある日の夕食中、星來が尋ねた。
今度保育園で行う保護者参観のことだ。
「もちろん行くよ」
「にちかさんはこれる?」
「えっ」
「日華さんはお仕事だから来れないよ」
「そおなの?」
星來が日華さんを見つめると、日華さんは自分のスマホを取り出した。
「いつなの?」
「えっとねー、げつようび!」
「来週の月曜日です」
「その日なら一日オフだ。行けるよ」
「ほんと!?」
「だ、ダメですよ!」
保育園に陽生日華が来たら大騒ぎになる……!ファンだというお母さんもいたのに!
「大丈夫。ちゃんと変装していくから」
「でも……」
「星來ちゃんの伯父って設定はどうかな?星來ちゃん、保育園では僕のことおじさんって呼んでね」
「おいたん?」
「そうそう!」
何だか日華さん、ものすごく乗り気だ……。
今からどんな服装で行こうかな、なんて考え始めている。
本当に大丈夫なのだろうか……?
私は不安しかなかった。