ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
保育参観当日。
星來の支度中に変装した日華さんがやって来て、そのナチュラルな変装っぷりに驚いてしまった。
黒いポロシャツに細身のジーンズ、髪は無造作に下ろして長い前髪で少し目が隠れる。
フレームが大きめのメガネをかけ、マスクもしていないのに別人みたいだ。
すごくナチュラルに、でも完全にオーラを消している。
「どう?バレなさそうでしょ?」
「確かに……変装お上手なんですね」
「てゆーか元々オーラがないのに、仕事中は頑張って出そうとしてるだけだよ」
またまた謙遜を。
でも、そういえば大学時代も日華さんは特別目立つ存在ではなかったな。お芝居になると途端にスイッチが入るけど、普段は物静かなタイプだった。
それでも、いつでも私の目には輝いて見えていたけれど――なんてね。
そんなわけで私たちは三人で保育園に向かった。日華さんが来てくれることで、星來は朝からご機嫌だった。
「せんせえ!おはよーございますっ」
「おはようございます。星來ちゃんのお母さんも、おはようございます。あら、そちらの方は……」
「おはようございます。えっと、私の兄になります」
「星來の伯父です」
「まあ伯父さんでしたか!」
「僕もお邪魔して大丈夫でしょうか……?」
「もちろんですよ!どうぞ楽しんでいってくださいね!」
先生は少しも気づいていなかった。
星來が片親だと知っているからこそ、伯父が来てくれたことを喜んでくれているようだ。
他のお母さんたちにも何人か挨拶して、兄だと紹介したらみんな信じてくれた。