ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
ニコッと微笑み、大事そうにハンカチを受け取った彼に心臓が小刻みに脈打つ。
この音が聞こえていないことを祈りながら、再び視線を星來に戻した。
ダンスが終わり、大きな拍手に包まれた。
日華さんは人一倍大きく手を叩き、星來を真っ直ぐ見つめて嬉しそうに頷いていた。
それに気づいた星來もニコニコ微笑んでいる。
「すごかったね、星來。すっごく上手だったよ!」
「かわいかったなぁ。星來ちゃんは天才だね!」
「えへへ〜」
褒められて星來は得意げになり、何度もダンスの振り付けを見せてくれた。
「頑張った星來ちゃんにご褒美プレゼントしないといけないね」
「ごほーび?」
「うん、おじちゃんが何でもプレゼントするよ」
「じゃあね、せいら、どうぶつえんいきたいの」
「動物園?」
「うん。まあたんがね、パンダさんみたんだって」
パンダと言えば動物園の人気者。
そういえば星來、TVでパンダを見てから動物園に行きたがってたな。
「じゃあママと行こっか」
「にちかさんもいっしょがいい」
「に……おじちゃんはお仕事があるから」
「大丈夫、何とか調整するよ。動物園、約束ね」
日華さんはしゃがみ込んで小指を差し出す。
星來も小指を絡ませ、ニッコリと笑った。
「やくそく!」