ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 途中でランチタイムを取ることになり、レジャーシートを敷いてお弁当を広げる。
 今日のために朝から張り切ってお弁当を作ってしまった。


「星來、おてて拭こうね」

「はーい」

「はい、おにぎりどうぞ」

「いただきます!」

「日華さんもどうぞ」

「ありがとう」


 とってものどかなお昼だった。
 私たちは今、普通の家族に見えるのかな……?

 今だけ、今だけでも休日の家族らしく過ごしてもいいのかな――。


「にちかさん、おいしい?」

「うん、おいしい」

「せいらもおにぎりにぎにぎしたの」

「そうなの?だからとってもおいしいんだね!」


 日華さんに頭を撫でられ、嬉しそうに笑う星來。


「お弁当ありがとう。すごく美味しいよ」

「いえ、こちらこそ星來の我儘に付き合ってくれてありがとうございます」

「我儘なんてとんでもない。ご褒美って約束したもんね」

「うんっ!」


 ……こんな時間がずっと続いて欲しい。

 周りには他にも家族連れや若いカップルもいたけれど、誰も日華さんに気づく人はいない。
 私が思っている以上に案外バレないものらしい。

 これなら、もっと一緒にいても大丈夫なのかな?なんて思ってしまう。


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