ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 日華さんのおかげでうさぎに触れて、動物を大事にする気持ちも何となくわかってくれたら嬉しいな。

 そういえば。


「日華さん、ご実家でわんちゃん飼ってましたよね。お元気ですか?」

「ああ、2年前に亡くなったよ」

「そうですか……」

「もう随分おじいちゃんだったからね。よく長生きしてくれたよ」

「……今は動物飼われないんですか?」

「家を空けることが多いからなぁ。一人だとちゃんと世話できる自信がなくて」


 それもそうか。
 日頃から忙しいし、撮影で長期間家を空けることもあるから難しいよね。


「ママ〜、ねむい……」

「いっぱい歩いたもんね。ここおいで」


 星來を抱っこしてベビーカーに乗せた。
 今日はほとんどベビーカーに乗らず、頑張って自分で歩いてたから流石に疲れたと思う。

 色んな動物を見る度にはしゃいで喜んでたもんね。

 星來はベビーカーに乗ると、すぐにすやすやと寝息を立てた。


「私たちは先に帰りますね」

「あ、ちょっと待って」


 日華さんはそう言うとどこかへ行ってしまった。
 どうしたんだろうと思いながら待っていると、日華さんが戻ってくる。


「お待たせ。これ、星來ちゃんに」


 そう言って渡してくれたのは、パンダのぬいぐるみだった。


< 54 / 195 >

この作品をシェア

pagetop