ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
日華さんのおかげでうさぎに触れて、動物を大事にする気持ちも何となくわかってくれたら嬉しいな。
そういえば。
「日華さん、ご実家でわんちゃん飼ってましたよね。お元気ですか?」
「ああ、2年前に亡くなったよ」
「そうですか……」
「もう随分おじいちゃんだったからね。よく長生きしてくれたよ」
「……今は動物飼われないんですか?」
「家を空けることが多いからなぁ。一人だとちゃんと世話できる自信がなくて」
それもそうか。
日頃から忙しいし、撮影で長期間家を空けることもあるから難しいよね。
「ママ〜、ねむい……」
「いっぱい歩いたもんね。ここおいで」
星來を抱っこしてベビーカーに乗せた。
今日はほとんどベビーカーに乗らず、頑張って自分で歩いてたから流石に疲れたと思う。
色んな動物を見る度にはしゃいで喜んでたもんね。
星來はベビーカーに乗ると、すぐにすやすやと寝息を立てた。
「私たちは先に帰りますね」
「あ、ちょっと待って」
日華さんはそう言うとどこかへ行ってしまった。
どうしたんだろうと思いながら待っていると、日華さんが戻ってくる。
「お待たせ。これ、星來ちゃんに」
そう言って渡してくれたのは、パンダのぬいぐるみだった。