ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
面白おかしく書いている呟きもあるが、そのどれもが他人事とは思えなかった。
もし万が一、陽生日華に隠し子がいるなどとすっぱ抜かれたら――日華さんが今まで積み上げてきたものが一瞬にして崩れ去る。
ダメだ、そんなこと絶対にあってはならない。
星來が陽生日華の娘だとバレるのも絶対にダメだ。
何があっても私が二人のことを守らなければ……!!
やっぱり、この家を一刻も早く出よう。
せめて一時的にでも、実家の厄介になるしかないのかもしれない。
実家に電話をかけようとして、着信音が鳴った。
スマホの画面に表示された名前を見て、私は目を見開く。
「……もしもし?」
『もしもし、あかりか?久しぶり!』
「恭ちゃん、久しぶりだね」
火浦恭一こと恭ちゃんは、私の幼馴染だ。
小学校から高校まで一緒で、男性に縁のなかった私の唯一の男友達でもある。
恭ちゃんは建築を学ぶために京都の大学に行き、そのまま京都の建築会社に就職したと聞いていた。
だから大人になってからは、ほとんど会っていない。
『実は今、お前ん家にいるんだよ』
「え、そうなの?」
『ああ、東京の本社に異動が決まってさ。またよろしくってことで挨拶に行ったのに、あかりいねえんだもん』
「そうなんだ。それはごめんね」
『つーかお前、今子どもいるってマジか!?』