ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
これが本当なのかわからないし、意外に落ち着いている。
どちらかと言うと、ドラマに影響しないか心配かも。視聴率が好調な時にこんなことして、大丈夫なのだろうか。
『そっか。余計なお世話だったらごめんね』
「ううん。それより妃乃こそ大丈夫?」
『も〜〜毎日バタバタだよ〜!今やっと寝たとこ』
「そっか。落ち着いたら会いに行かせてね」
『うん!またね』
通話終了をタップし、妃乃との通話を終えた。
妃乃に出産祝いをしたいんだけど、今はそこまでの余裕がないからなぁ。
「ママ〜、にちかさんは?」
「今日は帰りが遅くなるみたい」
「そっかぁ」
星來は日華さんに買ってもらったパンダのぬいぐるみをきゅっと抱きしめ、寂しそうにしょぼんとする。
とても気に入ったようで、寝る時も一緒だ。
「にちかさんに、えほんよんでもらいたかった」
「後でママが読んであげる」
「にちかさんがいい」
「日華さんはお仕事で忙しいの。ママで我慢して?」
「はあい……」
ご飯を食べたら絵本を読んで、一緒にお風呂に入って。星來はずっと寂しそうにしていた。
日華さんが帰るまで起きてると駄々をこねる星來を何とか寝かしつけ、抱っこして布団に運ぶ。
洗い物をしていたら、日華さんからメッセージが届いた。
「撮影が押しているので先に寝てください」