ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
「で、聞いてもいいか?なんで結婚しなかったんだよ」
「……元カレと別れた後に妊娠がわかったの」
「じゃあ相手には知らせてないのか?」
「うん」
恭ちゃんは信じられないといった感じで肩を竦める。
「この前あかりの実家行った時、おばさん随分心配してたぞ」
「わかってる。今訳あってハウスキーパーさせてもらってる知り合いのお家にお邪魔してるけど、実家に帰ることにしたから」
「何かあったら言えよ?俺にできることがあれば何でもするから」
「ありがとう、恭ちゃん」
恭ちゃんの面倒見の良いところは変わってない。いつも周りをよく見ていてよく気がついて、私のことも沢山助けてくれた。
同い年だけどお兄ちゃんみたいなところがある。
「っ、あかり……その、綺麗になったな」
「え?」
やや頬を赤らめる恭ちゃんに驚いて目を見開く。
「えー嘘でしょ?出産してから全然美容院行けてないし、服もテキトーだし」
「いや、綺麗になったよ。すごく」
「恭ちゃんったら、京都でそういうのも覚えたんだ。モテるでしょ?」
「俺は元からモテてるだろ」
「うわ〜自分で言ったね」
何だかこういう会話、高校の時以来だから懐かしいな。