ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 仕事をする傍ら、ずっとあかりを探し続けた。
 未練がましくあかりに執着する俺に、マネージャーの金城さんは呆れていた。


「日華、いい加減にしないか。探し出したところで彼女に相手がいたらどうするんだ」

「でも、だったらそれをこの目で確かめたいんです……」

「どうしてそこまで彼女に執着するんだ……」


 どうしても諦められない。
 どうしても、もう一度会いたい。
 もう一度あかりの顔が見たい、声が聞きたい。

 許されるなら、もう一度抱きしめたい――。


「日華、お前は今大事な時期なんだぞ。社長もお前には大いに期待している。
会えもしない彼女のことは忘れて、目の前の仕事に集中するんだ」

「……。」


 その後、チーフマネージャーに昇格した金城さんに代わり、新しくマネージャーに就いてくれたのは水川くん。俺より2個下の若い子だった。

 水川くんはとても仕事熱心で、気が利くし一緒に仕事をしていると元気になる。
 子犬系の年下男子といった感じで、先輩たちから可愛がられる好青年だった。


「日華さん、最近大変だと思うのでハウスキーパーを雇われてはどうですか?
この業者、芸能人が多く利用していて口が堅いと評判なんですよ」


 ハウスキーパーを紹介してくれたのも水川くんだった。


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