ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 つまり、やっぱり星來ちゃんは俺の子だということになる。多分そうなのだと思う。

 だけど、あかりは絶対に俺の子だと認めようとはしない。俺に隠し子がいたとバレることを恐れているのか。

 世間がどう思うかなんて、関係ないのに。誰が何を言ってこようとも、絶対に二人を守り抜いてみせると誓えるのに。
 何度そのことを話そうとしても、あかりは俺から逃げてしまう。

 やっぱり俺の存在は迷惑なのだろうか。
 あかりの瞳の裏に隠れた、ほんの少しの愛情は俺の思い過ごしなのだろうか。


 ドラマの撮影が押しに押して、家に帰れずホテルに泊まった翌日。やっと撮影が終わって車で帰る途中、あかりを見かけた。

 その隣には、見知らぬ男がいてあかりと楽しそうに話している。レストランから出てきたところを見ると、二人で食事をしていたのだろう。


「水川くんっ、用事を思い出したから先に帰って!」
「えっ、日華さん!?」


 車を飛び出し、あかりを追いかけた。幸いにしてすぐに別れてくれたおかげで、あかりを連れ出すことができた。

 俺のこういう後先考えずに行動してしまうところが、あかりを頑なにさせているのだと思う。それは自覚している。
 それでも、あかりのことになると自分が抑えられなくなる。いい年してみっともないとも思うが、もうあかりを失いたくないんだ。


< 79 / 195 >

この作品をシェア

pagetop