ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。
第四章
離れていても
それからの日々は目まぐるしく過ぎていった。
まず私と星來は日華さんの家を出て、事務所が用意してくれたマンションに引っ越した。家事代行の仕事も辞め、日華さんと会うのは月に一度と決められた。
私にとっては有難いことだ。元から認めてもらえるなんて思っていなかったし、新しく住む場所を用意してもらえるなんて思っていなかったから、正直とても助かっている。
これまでのことを考えたら、月一でも日華さんと会えるのなら嬉しい。
「あかりにはこれからも苦労かけると思うけど、必ず迎えに行くから。それまで待っていて欲しい」
日華さんは真剣な眼差しで私を見つめ、優しく抱きしめてくれた。
「日華さん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。時間はかかるけど、絶対に迎えに行く」
そう言って頬にキスをしてくれたけど、事務所とどんな話をしたのか詳しくは教えてくれなかった。
でも、彼を信じて待つことにした。
一度は諦めた日華さんとの未来が、この先に続いているのなら。
その未来に手を伸ばしても良いのなら。
私は信じて待ちたい。私たち三人が本当の家族になれる日が来ることを信じて。
「それじゃあ、しばらく会えないけど連絡するから」
「はい、頑張ってください」
もう一度ハグして、唇にキスもしてくれて名残惜しく思いながら見送った。
それでも以前のような寂しさはなかった。