孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
キッチンカウンターから目線を送ってくる穂高壱弥はパジャマ姿だと普段の迫力が薄れる。代わりに見てはいけないものを見ているような気分になった。たとえるなら芸能人やモデルの私生活を覗き見しているみたいな。その生活の中に自分も入り込んでるなんて、なかなか実感が湧かない。
「不便はないですけど、慣れてはいないかな。毎日することがなくて」
広すぎる家は週に二回来るハウスキーパーの人がピカピカにしてくれるし、料理も作り置きをしてくれるから私の出る幕はない。
妻になったからには家事を引き受けたほうがいいかなと申し出てみたけれど、お前に求めてるのは同衾だけだ、と一蹴されてしまった。そうなると私がすることは自分の朝食と昼食の用意とちょっとした片付けくらいで、ここのところは散歩が日課という健康的すぎる生活になっている。
コーヒーを淹れた彼は斜向いに着くと、私の食事の様子をつまらなそうに見た。
「毎日退屈か? なにか要望があるなら言ってみろ」
不思議に思う。
穂高壱弥は口調も態度も不遜だけれど、たまに私を気遣うような発言をする。
結婚したといっても愛のない契約婚だし、私に求めてることはひとつなのだから、それ以外は一切関与しない、というふうにビジネスライクに接してくるかと思ったのに。
「不便はないですけど、慣れてはいないかな。毎日することがなくて」
広すぎる家は週に二回来るハウスキーパーの人がピカピカにしてくれるし、料理も作り置きをしてくれるから私の出る幕はない。
妻になったからには家事を引き受けたほうがいいかなと申し出てみたけれど、お前に求めてるのは同衾だけだ、と一蹴されてしまった。そうなると私がすることは自分の朝食と昼食の用意とちょっとした片付けくらいで、ここのところは散歩が日課という健康的すぎる生活になっている。
コーヒーを淹れた彼は斜向いに着くと、私の食事の様子をつまらなそうに見た。
「毎日退屈か? なにか要望があるなら言ってみろ」
不思議に思う。
穂高壱弥は口調も態度も不遜だけれど、たまに私を気遣うような発言をする。
結婚したといっても愛のない契約婚だし、私に求めてることはひとつなのだから、それ以外は一切関与しない、というふうにビジネスライクに接してくるかと思ったのに。