花葬
 女子トイレに貼り付けられた鏡の前に立ち、好きでもない明るい色に染めた髪をフレンチネイルの施された手でいじくり、これまた好きでもない高見えするお嬢様が着るようなプリーツの薄手のワンピースを着た女、それが私だった。おばあちゃんに泣きついて買ってもらったブランドのバッグを、洗面台から引き上げる。

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