ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
 そんな話をしながらしばらく歩くと、ウィリオの言う通りに水面が輝く美しい湖に着いた。

「まあ、とても綺麗な湖ね。想像以上に広いわ。向こう岸が見えないじゃない」

 広くて水面に爽やかな風が吹く湖には、中央には可愛らしい島まであって、まるで小さな海だった。

「にゃー、魚は? 魚はどこにゃ?」

「ほら、その先に水面に木の枝が張り出している場所があるだろう? あのあたりで釣れるぞ」

「釣るのにゃ? 素手ですくうのもありなのにゃ?」

「……エリナが泳げるなら、ありかもしれない。だが……泳げるのか?」

 エリナはむふんと胸を張って言った。

「魚のためなら泳いでみせるにゃ!」

「おお、なんという意気込み! 素材を前にした料理人としての強い意志を感じるぞ」

 ウィリオ王子は感心したけれど、ルールーは『なんかちょっと違う気がするのよね』と首をひねった。

 無意識に爪を伸ばして、にゃんにゃんと手を伸ばすエリナを見て、ルールーは「もう、エリナったら! 身体が動き始めちゃってるじゃないの。本当に面白い子猫ちゃんね」と噴き出しそうになる口元を押さえた。

「明日はこの湖の岸で火を起こし、遊びながら魚獲りをして、焼いて食べるというのはどうだろう? とても美味しいが捕まえにくいクリスタルフィッシュという魚もいるから、運がよければ一匹くらい食べられるかもしれないぞ」

 ウィリオの提案に、エリナもルールーも「うわあ、それはとても素敵にゃん! 絶対に捕まえてみせるにゃ、猫の血が騒ぐにゃんよー!」「あら、泳ぎならば人魚のわたしは負けなくてよ。素晴らしいヒレさばきをお見せしちゃうわ」と大喜びになった。
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