ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
「この腕試しは、武器は使わないルールなんですよー」

 セラが説明をしてくれる。

「体術を使っての勝負だから、その人の真の実力がわかるんだよね」

 エリナは『ますますお相撲っぽいにゃ』と頷いた。

「基本的に、円形の闘技台から落ちたりして、身体の一部が闘技台以外の土に付いたら負け。それ以外にも、審判が試合終了の判定をすることもあるんですよ。滅多にないけど、選手が大怪我をしたり気を失ったりした場合だね。大抵はどっちかが外に吹っ飛ばされて終わるんだけど、とにかく土につかなければいいってんで、木や岩を蹴飛ばして戻ってきたら、また戦いが再開されるんですよー。ただし、見学している人に触れたら負け。エリナちゃんもルールーちゃんも、誰かが飛んできたらうまいこと避けるようにしてね」

「ええっ、避けるの? できるかしら? もっと安全な後ろの方に行って見た方がいい?」

 ふたりの席は、闘技台から五メートル以上離れていたが、もしもここまでだいの大人が飛んできてぶつかったら、小さな女の子は怪我をしてしまうだろう。
 ルールーは不安そうに言った。

「わたしもだけど、もっと身体の小さなエリナに向かって大きな人が飛んできたらどうしましょう? 潰れてしまいそうで心配だわ」

「よ、避けられるかにゃあ……」

 この幼くも獣人であるエリナは、日本にいた時と比べると格段に運動能力が上がっている。だが、勢いよく飛んでくる筋肉ムキムキの男性から逃げ切れるかというと、自信を持って断言できない。
< 127 / 244 >

この作品をシェア

pagetop